このまちで育った。これからもここで生きていく―――
井戸幼稚園から井戸小、中、木高と根っからのくまのっ子である西山は今年、くまのっ子学童クラブ4年目。
これまでは井戸事業所主任として、今年度からは新たにくまのっ子の副所長として全体を見ていく役目が新たに加わる。
入所当時はまだ十分とはいえなかった体制の中、数少ない先輩に教えを請いながら、ほぼ自らの手探りで日々の業務をこなし、イベントを企画し、そして子ども達と向き合っていた。
学校や幼稚園・保育所と違って「しなければならない」がない学童。忙しい日々の中で心がけていたことは「その日来た子、みんなと話すこと」当初は少数であった学童も年を追う毎に児童数は増え、現在では平均30名。限られた時間の中では意外と難しかったりもする。
「正直、入った頃は思い描いていた子ども像とのギャップがあった――」とか。学年も性別はもちろんタイプも違う子ども達が同じ場所に集まる学童。今でも慣れたわけではないと話すが、子ども達との信頼関係をゼロから築くところから始めなければならないというのは学童指導員の関門の一つ。男の子なんかだとわざと悪びれるのは日常茶飯事。「手を出すことが挨拶代わりだった」なんて子もいた。
塾や習い事と違ってほぼ毎日通う学童。そんな日々の中向き合うことで築かれる子ども達との信頼。そして子ども達・指導員自身の成長。1年経ち、2年が経ち…入った頃はあんなに乱暴だった子がいつの間にか上級生。「1年生かわいいなぁ」なんて面倒をみてくれる様子は、当時を振り返ればまさに感動モノだという。
放課後遊んだり宿題をしたり日々の保育は事業所で行いつつも、長期休暇などは積極的に野外活動を行うのがくまのっ子・みはまっ子学童。自然豊かな熊野のフィールドに思いっきり飛び出す。
湯ノ口温泉に泊まったりトロッコ乗ったり千枚田を見たり、育生でのキャンプやカヌーに魚釣り…実は西山自身、ずっと熊野に住んでいながら、どれも学童に関わってから初めて体験したとのこと。
普段過ごしていく中でなかなか体験出来ないことができる学童。6年生までの限られた時間に少しでも多くの体験を通して成長し、また大きくなったら熊野に帰ってきてほしいかな。そんなことを思いながら、今日も子ども達に向き合う。
西山梨紗(現:くまのっ子学童クラブ 副所長)