熊野に帰る。 迷いはなかった。―――
そう話すのは今年学童二年目を迎える大竹里沙。
小中高と熊野で過ごし、進学で名古屋へ。先の方向性もそして正社員への内定さえも決まっていたというが。
熊野を離れて見えること、感じたこと。一言では表せないいろいろな衝動がもう一度熊野へ突き動かした。
熊野へ帰り、職探し。誰かを世話することはきらいじゃなかったし、子どもたちと楽しく過ごせるのかも。こうして学童での生活が始まる。
子どもたちと向き合う学童の仕事。中には思い描いていたものとギャップが大きいと感じる人もいるようだが、大竹は「ギャップはあったけど、楽しい方が大きい」とさらっと話す。
実際子どもたちから「なんで怒らんの?」と聞かれることもあるという。大竹曰く「イラッとすることは時々あるけどそれ以上の事はない」とのこと。器の大きさが求められる仕事なのだろう。
子どもたちのやんちゃもさらっと受け止められる大竹にも苦手なことはある。人前に出ることだ。それまで自分から進んで人前に出ることは極力避けてきたというが、様々なイベントがある学童でそうはいかない。昨年のクリスマス会では初担当を任され、かなり緊張しながらもやりきった。
イラッとすることも、楽しいことも、いろいろありながらもバタバタのうちに過ぎていった初めての年。昨年の井戸事業所から今年はみはまっ子へ異動となった。また新たな場所で子どもたちとの生活が始まっているが、いまでも井戸の子どもたちは日誌に大竹のことを書いてくれているという。井戸担当の指導員から「書いてくれてるよ」と渡される日誌を見ることがなによりも嬉しいという。
子どもたちとの信頼を築く仕事。
昨日も、今日も、これからも。
大竹里沙(みはまっ子学童クラブ 指導員)